遺言制度が改正へ。遺言は残しておいた方がいいの?

2026年6月、遺言制度を見直す法律が成立し、同月24日に公布されました。

今回の改正では、自筆証書遺言などの押印を任意とする見直しや、電子データなどを利用して作成し、法務局で保管する新しい遺言制度の創設などが予定されています。

遺言制度は、いつ・どう変わる?

今回の改正のうち、遺言に関する主な変更点を見てみましょう。

1.自筆証書遺言などの「押印」が任意に

現在、自筆証書遺言を作成する場合には、原則として遺言者本人が遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印する必要があります。
※財産目録については、自書によらない方法も認められています。

今回の改正では、この押印が任意になります。

法律の公布日は2026年6月24日で、押印の任意化等については、公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されることになっています。

したがって、現時点で自筆証書遺言を作成する場合には、これまでどおり現在の法律に定められた方式を守る必要があります。

2.電子データなどを利用した新しい遺言制度も

もう一つ大きな改正が、「保管証書遺言」という新しい遺言の方式が設けられることです。

電子データなどを法律で定められた方式に従って作成し、法務局で保管する新しい仕組みです。

こちらもシステム改修なども必要となるため、公布の日から3年を超えない範囲内で政令で定める日から施行される予定で、今すぐ利用できる制度ではない点に注意が必要です。

そもそも、遺言を残すと何が違う?

遺言がなければ、相続人や法定相続分は法律によって決まりますが、具体的に「誰がどの財産を取得するか」については、相続人全員で遺産分割の話し合いをすることになります。

もちろん、遺言がなくても円満に相続手続が進むご家庭はたくさんあります。

一方で、遺言は「財産の分け方を決めるもの」であると同時に、自分が亡くなった後に、残されたご家族が一から考え、話し合わなければならないことを減らすためのものでもあります。

  • 自宅を誰に引き継いでほしいか希望がある
  • 特定の財産を特定の人に残したい
  • 相続人以外の人にも財産を残したい
  • 子どもがいないなど、相続関係が複雑になりそうだ
  • 家族それぞれの事情を踏まえて、自分の希望を伝えておきたい

といった場合には、遺言を残しておく意味が大きくなります。

ただし、遺言があれば必ず相続トラブルを防げるわけではありません。

内容が曖昧だったり、現在の財産状況と合っていなかったりすると、「これはどういう意味だったのだろう」と、かえって問題になることもあります。

だからこそ、ただ「書いておく」のではなく、今の自分の意思がきちんと伝わる内容になっているか、必要に応じて見直していくことも大切です。

自分の「もしも」がいつ訪れるかは決められません。

まずは今、「もしものとき、自分はどうしてほしいだろう」と一度考えてみる。

「一度書いたら、その内容を一生変えないもの」

というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

でも、最初から将来のことをすべて見通して、完璧な遺言を作るのは難しいものです。

まずは、今の家族や財産の状況をもとに、今の自分の気持ちを形にしておく。
そして、家族や財産、自分の気持ちが変わったら、そのときにまた見直す。

遺言は、一度作って終わりではなく、その時々の自分の状況に合わせて見直していくことができます。

「完璧な遺言を一度で作らなければ」と構えるのではなく、まずは「今、もしものことがあったら」と考えてみる。

遺言も、身近な「もしもの備え」のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。


原田の森の司法書士事務所では、「自分の場合、遺言は必要?」「何を決めておけばいい?」という段階からご相談をお受けしています。

ご家族や財産の状況をお伺いしながら、遺言を作成する場合も、作成しない場合も含めて、一緒に整理していきます。

一度作成した遺言についても、ご家族や財産の状況が変わったときには、今の内容のままでよいのか一緒に見直していきます。

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